緑を独り占めする

築40年の長屋をリノべ―ション

敷地が広く、周りを緑に囲まれた好環境、建物は2階に接道して1階に降りていくメゾネットタイプの長屋、この上なくワクワクする条件のなか、長い間空家だったのは現状がだいぶ傷んだ雰囲気をまとっていたからでしょうか。ロケーションを楽しみ、ここにしますと決めたS様に大きく背中を押されつつ大規模なリノベーション工事となりました。

繰り返された増築の30㎡ほどを減築すると共に内部をスケルトンの状態に。傷んだ部分を改修しました。外壁のALCは残しつつ、断熱を追加したり、強度を増すために鉄骨の柱や梁を追加したり土間を打ったり。配管も入れ替えて、これからの暮らしをなるべく安心していただけるように施工しました。

広いピロティ部分をどう使おうか、アイディアが広がります。色々な制作ができるように屋外用コンセントや外階段を設置しました。2階の手すりの横桟は荷揚げ荷卸しが出来るように閂状になっています、住みはじめてからどう進化していくのかが楽しみです。1階はアトリエとして使い、内部も外部も徐々に仕上げてゆく予定です。撮影時は床の施工中でした。

明るく森の風がぬける空間に

プランをし始めて初めに決めた場所が浴室。ここから朝日をみながらお風呂に入りたい、そのご要望で水まわりの位置は全て移動して印象がガラッと変わりました。元々の屋根形状に近づけて天井にも勾配を取り、別荘のような雰囲気をまといました。光がきれいに見えるよう、天井には照明をつけない計画としました。広いキッチンは天板の高さをシンク側とカウンターで近づけ、お友達とキッチンバルのように楽しめるようになっています。もうひとつ凝ったところが玄関脇に伸びる土間空間、たくさんの靴に並び家に帰ってすぐにコートが脱げてお片づけがワンアクション。S様のこだわりがたっぷり詰まった秘密基地のようなお家に仕上がりました。