お庭改修200万円(青梅市K様邸/改修面積≒50㎡)
K様からお庭のご相談を受けたのは4ヶ月前のこと。広い広いお庭の枕木舗装の取り替え工事のご相談でした。
新築から20年あまり経ちあちこち痛みが気になったためお声かけを頂いたのでした。
当時の枕木は実際に線路で使用してた材を転用することが多く、K様のお宅に敷いていたものも実際オーストラリアの鉄道で使用されていたものでした。現在は線路として使用していたものは殆どなく、枕木のサイズに製材されたガーデニング用の木材やコンクリートの二次製品が販売されています。
枕木は木材を地面に直接敷いてゆくため雨風にあたり、シロアリに食われたりして耐久年数は10年-15年といわれています。メンテナンスの観点からも二次製品が多くなってきているのですが、これはこれで侮れず、最近では技術が進んで、写真ではちょっとわからない程の製品も出てきています。
K様のお庭には多くの畑があり、樹があり、花があり、それらに囲まれた暮らしをされていて、その調和を最優先に、10年持つのであればと本物の木材で進めることにしました。またその植物たちへ配慮して防腐剤が注入されているものではなく比重の思いユーカリの無垢材(重い=硬く腐りにくい)で施工することに決めたのでした。
お打ち合わせの中で心配したのは、K様の年齢のこと。お家周りのことはなんでもこなすご夫婦はとてもお元気ながら、お孫さんも大きくなられたお年のため、今後を考えると枕木の段差が気になりました。枕木の目地に入れた砂利が流れてしまった際には段差が大きくなったり、歩幅が合わなくなると歩きづらくなったりします。
しかしこの枕木の風景は捨てがたく、いざとなった際の別ルートを確保して、アプローチの改修を行いました。
前庭は家と外を繋ぐ大切なアプローチ空間であると同時に、外から帰ってきた時の「ただいま」を演出するほっとする空間でもあリます。「神様が作ったものではなく誰かが作ったものは自分でも作れるんだと思う」そう話してくださったご主人。自分でできる間はその好奇心を大切に、後のことを描いた上で風景を優先させたK様の選択を素敵だなと思いました。
出来上がると一見ラフに見える枕木の舗装ですが、施工の過程を見てみるとちょっと驚きます。仕上がりの高さから逆算して掘った土面をならしたら、砂を敷き、レベルを整えます。重たい枕木ですから重機を使いながら左右や前後の位置、水平器を使いながら材の傾斜もミリ単位で整えてゆきます。
緩やかな曲線を描くように職人さんたちは全体の様子を見ながら奥から順に枕木を並べてゆきます。全体が並んだら砂と砂利を入れて舗装面全体の高さをならします。今回の工事では面積が広く長さ2Mほどの枕木をおよそ40本も使ったので敷く作業だけで4日ほどかかりました。最後に全体を水で洗ったら、ため息の出るほど美しい仕上がりとなりました。
今回の工事では、もともと敷かれていた枕木を一本一本ひっくり返して確認し、腐りがないものを再利用しました。ユーカリの無垢材の在庫がギリギリだったことが理由ですが、これは大変な作業でお付き合いくださった職人さん達に感謝です。おかげで畑の縁やベンチの造作、メインの通路でないところの舗装などに使用しました。新旧の枕木が合わさり深みのある雰囲気もできました。
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